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環境ノートNo.3  地球温暖化と海面上昇(1)

環境ノートNo.3  地球温暖化と海面上昇(1)

まんぼう

第1回目は地球温暖化防止のための再生可能エネルギーの現状をご紹介しました。今回は、地球温暖化の実態と将来についてと、世界が温暖化にどう立ち向かっているかについて述べます。

1. これまでの温暖化

 図-1に世界の年平均地上気温の経年変化1)を示します。産業革命たけなわの19世紀後半(1880年)から現在(2012年)に至るまで132年間に0.85℃程度上昇していますが、増加の割合は1975年頃から加速の傾向にあることがわかります。日本の年平均気温は、100年あたり約1.2℃の割合で上昇しているそうです2)。世界平均からするとかなり高いですね。

図ー1 世界の年平均地上気温の経年変化1)
 注意:左縦軸は1961~1990 年平均からの偏差を、右縦軸は気温の推定値(℃)を示す。青い曲線は、十年規模の変動をみるために平滑化された曲線。直線近似は過去25 年(黄)、過去50 年(橙)、過去100 年(紫)、過去150 年(赤)の値を与える。

温暖化の原因は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス(GHG: Green House Gas)濃度の上昇と言われています。温室効果ガス濃度は地球規模では数千年~数万年の時間スケールで変化していますが、産業革命以降その濃度はかってないスピードで増加しています。図-2は大気中の二酸化炭素濃度を示すものですが、年を追うごとに増加のスピードは増しています。2018年ではハワイのマウナロアで410ppmを記録しました。このグラフの細かな振動は、植生の二酸化炭素吸収活動が季節により変動することを表しています。

図ー2 大気中の二酸化炭素濃度の経年変化3)

2.これからの温暖化

 <温暖化のシナリオ>

将来の気候を予測するには、人間の活動によって温室効果ガス濃度やエアロゾル(微粒子)の量が今後どのように変化していくかについて幾通りかのシナリオを作り、そのシナリオに従って地球全体をモデルにした計算を行います。2014年IPCC*)が取りまとめた評価報告書AR5*)では、過去に検討された複数の政策・社会経済シナリオを参考に4通りの代表的なシナリオが示されています4)。これらのシナリオはRCP*)シナリオと呼ばれ、表-1に概略を示します。表中、「放射強制力」とは、温室効果ガス濃度などの放出量によって変化し、値が大きいほど地球を温める潜在能力が高いことを表します

表ー1 AR5*)のRCP*)シナリオ4)

 2015年のパリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑えることが目標とされ、新聞にも2℃や4℃といった数字が出てきますが、それらの根拠がこの表-1に現れています。

 <温暖化の予測結果>

温暖化予測は、上で述べた放出強制力のシナリオに従って、「地球モデル」と呼ばれる地球丸ごとの計算モデルを使って、100年間の大気と海洋の熱のやり取りと温度の分布を3次元的に求めます。地球モデルは正式にはAOGCM(Atmosphere Ocean General Circulation Model:大気・海洋結合循環モデル)と呼ばれます。計算には日本も主導的役割を果たしており、横須賀の海洋開発機構では「地球シミュレータ」と呼ばれるスーパーコンピューターが数か月かけて計算するそうです。AR5における地球モデルでは、計算のメッシュ間隔は水平方向30~400kmですが、このままでは地域の細かい様子が分からないので、地球モデルの計算結果を10~30 kmともう少し細かいメッシュの「地域モデル」にインプットして、地域ごとの細かい温度変化を計算します。

このようにして得られた100年間の平均気温の変化予測の一例を図-3に示します4)

図ー3 世界の平均気温の変化の予測4)

温暖化現象の物理的メカニズムやプログラム自身の不確定性に加え、政策的シナリオにも不確定性があるため、時間が遠くなるほど予測値の変動幅が大きくなります。計算結果の最も確からしい温度と変動の幅を読み取ると、表-2のようになります3)。RCP8.5のように世界が温暖化に対して手をこまねいていると、世界気温は1986-2005平均に対して21C末までに最大4.8℃上昇するという結果です。RCP2.6では、計算結果は世界平均1℃上昇で、これに産業革命前から現在までの気温上昇量0.85℃を加えると1.85℃となり、「2℃以下」の目標を達成できたことになっています。しかし、大きな変動の幅を考慮し、2015年のパリ協定ではさらに「1.5℃未満」への抑制が「努力目標」として掲げられました。

表ー2 2100年における世界の平均気温上昇予測結果

現在の世界情勢だと1.5℃どころか、2℃目標の達成は難しいのではと思います。次回は、温暖化の結果生じる海面上昇や温暖化対策の取り組みについて紹介します。

<略語の説明>

IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change気候変動に関する政府間パネル

AR:Assessment Report評価報告書 AR5はIPCCが公表した5番目の評価報告書で、2021年にAR6が発表される予定

RCP:Representative Concentration Pathway 代表的(温室効果ガス)濃度パス

 

<参考文献>

1)気象庁ホームページ:地球温暖化の基礎知識, 気象庁気象研究所 気候研究部, 2008 年6 月, 24p

2)気象庁ホームページ:日本の気候の変化

3)気象庁ホームページ:気候変動監視レポート2014, 平成27年7月, 気象庁, pp.52

4)環境省ホームページ:IPCC report communicatorガイドブック, WG2基礎知識編, 環境省, 2016年2月12日 確定版

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