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環境ノートNo.1  再生可能エネルギーの現状(1)

環境ノートNo.1  再生可能エネルギーの現状(1)

まんぼう

 この4半世紀、年々台風が巨大化し異常降雨が頻発するなど、極端な気象現象が顕著になってきています。その最大の原因は18世紀産業革命以降、人類が石炭・石油など化石燃料を大量に使用した結果、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素など)濃度が高まり地球環境が上昇したこと(1880~2012年:+0.85℃)と言われています。そのためヨーロッパを中心に、エネルギー源として化石燃料から風力・太陽光などいわゆる自然エネルギー(再生可能エネルギー)に切り替える政策が進んでいます。さて、わが国ではどうでしょうか?

ここでは、2回に分けて、日本のエネルギー事情と各国の再生可能エネルギーの開発状況について俯瞰して述べてみます。

図-1 日本の二酸化炭素排出量の推移*4)

地球温暖化の問題が認識され始めたのは前世紀に遡りますが、強い危機感を持って各国が本格的に取り組み始めたのは「気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 」が1988年設立されてからでしょう。わが国は1973年のオイルショック以来、既に、省エネと原子力傾注という脱炭素の方向に進んでいましたが、「温室効果ガス排出量低減」への本格的取り組みは、IPCCの動きと軌を一にしてきたと考えられます。

しかし、2011.3.11の福島第一原発の事故を契機に、国はかって54基保有していた既存原発について停止・廃炉・審査見直しなどを行わざるを得なくなり、2020.8現在、再稼働できる原発基数は9基*1)に減少させています。さらにそのうち実際に稼働しているのは4基だけで、残り5基は定期検査やテロ対策設備の設置が遅れ、停止しています。原発は、発電コストの設定に多くの問題を抱えながら、見かけ上安く設定されてきました(10.1円/kwh)*2)。電力会社は安い原発を利用できないことによるコスト増に悩みながら、電力需要に応えるため、既存火力発電所をフル稼働させ、さらに石炭火力の新規計画(既存94基+新規35基)*3)などを含め、逼迫するエネルギー需給の現状をしのいでいます。

図-1に日本の二酸化炭素(以下CO2)排出量*4の推移を示します。1993年の京都議定書で1990年度比6%減の約束をし、省エネをはじめ様々な努力をしたにもかかわらず際立った削減効果はなく、日本のCO2排出量は2007年13.7億トン*5)にまで達します。しかし、同年に生じたリーマンショックによる経済の低迷で排出量は一旦は急減しますが、再び景気の上昇に伴い2009年より増大に転じ、さらに2011年からの原発停止と化石燃料使用 の増大に伴い、2013年まで増加傾向をたどります。その後、気候変動枠組条約の中で、2030年までに2013年度比26%削減とする約束草案に沿って、省エネやその他のCO2削減努力をしています*3)

表-1 日本の電源構成の現状(2016)*6)

2. 電源構成

ここで、日本の電源構成の現状を俯瞰してみましょう。表-1と図-2に2016年と2017年の日本の電源構成の統計を示します。

統計資料には、上述した化石燃料を使わざるを得ない、苦しい電源事情が表れています。表-1では2016年原子力が1.7%ですが、図-2では2017年原子力が3.1%と急速に復活しています。

比較のために、図-3に世界の電源構成を示します。エネルギーに関しては、先進国の消費量が途上国を圧倒するため、図-2は「先進諸国の電源構成」と読み替えても良いかも知れません。再生可能エネルギーに対する日本の取り組みの立ち遅れが読み取れます。

図-2 日本の電源構成の現状(2017)*7)

 

図-3 世界の電源構成の現状(2017)
サステナビリティ・ESG投資ニュースサイト資料*8)より作成
原本 IEA “Energy Policies of IEA Countries: United States 2019”

3.再生可能エネルギー

温暖化ガス削減にとって欠かせないのは、化石燃料の燃焼によらない再生可能エネルギーの技術開発と低コスト化です。

図-4に2030年のわが国の電源構成目標を示します*7), 9)。化石燃料の割合を減らす代わりに原子力を大きく復活させ、再生可能エネルギーを現状の16%から先進国並みに22-24%に増大させる計画です。しかし、この目標では手ぬるいとして、2020.7には経済同友会が、再生可能エネルギーの比率を40%に上げるべきとする提言10)を出しています。

この2-3年における先進国の再生可能エネルギーへの投資意欲はすさまじく、例えばドイツは2022年に原発を廃止し、2030年には再生可能エネルギーを65%にまで高める計画*11)です。

図-4 2030年の日本の電源構成目標*7)

現在、わが国で注目され、活用されている再生可能エネルギーは、太陽光、風力、バイオマス、地熱です。このほか、潮汐、潮流、波力などの形態もありますが、コスト面でわが国では開発が進みません。ちなみに、韓国ではH=9.2mの干満差を利用した世界一の潮汐発電所が2011年始華湖(Sihwa Lake:仁川)に設置され*12)、250MW(25.4万KW)の発電を行っています。

地熱は、火山国日本では資源量としてはアメリカ、インドネシアに次いで世界第3位のポテンシャルを持っていますが、東北・九州を中心に合計520MW(52万KW)(2016)*13)の発電所を保有しているに過ぎません。他の発電システムに比べ、コスト高であることと、多くの候補地が国立・国定公園の中にあることも普及を妨げています。

バイオマス発電は、里山で産出された間伐材などの木材を燃焼して水蒸気タービンを回す(火力発電)形式のもの、バイオマスを燃やして発生するガスで直接タービンを回す形式のもの、生ごみや海草などのバイオマスを発酵させて発生するメタンガスやエタノールなどを燃焼して発電させる形式のものがありますが、いずれもカーボンニュートラルの発電として各国で取り組まれています。日本では、表-1に示すよう4.4GW(440万KW)(2016)*6)の発電所が稼働していますが、燃料となるバイオマスの入手方法にコストがかかり、本格的な稼働の妨げになっています。

太陽光発電は1973年のオイルショックを契機にできた国のサンシャイン計画に乗って大きく発達しました。さらに、2012年のFIT(固定価格買取制度)導入により、国全体の発電量も飛躍的に伸び、表-1に示すように、12.5GW(1,250万KW) *6)の発電容量となっています。中国、アメリカに次いで世界第3位です。

しかし砂漠の国と違って森林の豊かなわが国では、100ha、数万KWクラスの大規模な施設になると、森林の減少、景観・生態系・水資源への影響などが大きいため、地域住民や自治体からの反対を受け、立地計画がとん挫することもあります。諏訪地方では2014年頃、196haの林地を開拓して90MW(9万KW)のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を設置する計画が出されました。これに対して住民から水源への影響、災害発生リスクの増大などの懸念が出てきて、諏訪市、茅野市からも住民の理解を得る為、環境アセスと事業計画の見直しを求める意見書が出されました。最終的には、環境影響評価書準備書公告*14)の段階で、事業者は住民や自治体からの要求には採算上応じられないと判断し、今年6月計画を撤回しました。

写真-1 メガソーラ発電所の例:長野県1,023KW
Fukusho Group15)ホームページより
(写真-1は左記の諏訪地方の例とは無関係です)

次回は再生可能エネルギーの中でも技術的、政策的に急速に発展しつつある風力発電と今後の技術革新について述べます。

<参考文献>

*1)資源エネ庁ホームページ(2020.8.11):日本の原子力発電所の状況

*2)資源エネ庁ホームページ(2017.10.31) 原発のコストを考える

*3) 平田仁子(2018.11.13):国内の石炭火力発電計画の現状と「2030年フェーズアウト計画」の提 言, NPO法人 気候ネットワーク

*4) スリーアールエナジー株式会社 エネイチ(2018.4.6):世界の二酸化炭素排出量の現状

*5)国立環境研究所:2018 年度(平成 30 年度)の温室効果ガス排出量(速報値)

*6) 環境エネルギー政策研究所(2017): 日本の電源構成の現状(2016)

*7) 資源エネ庁ホームページ(2019.9):国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案

*8)サステナビリティ・ESG投資ニュースサイト(2020.4):【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2019年版] 2020/04/03 体系的に学ぶ

*9)資源エネルギー庁(2019.3): 2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応について~全体整理~ 平成30年3月26日

*10)公益社団法人 経済同友会(2020 年7月): 2019 年度 環境・資源エネルギー委員会 提言  2030 年再生可能エネルギーの電源構成比率を 40%へ

*11)Asian Oil & Gas(2019.1.3): Renewables Take Over as Germany’s Main Energy Source , Thursday, 03 January 2019

*12)東洋経済日報(2011):世界最大・始華湖潮潮力発電所が発電開始

*13)JOGMEC(2017): 日本の地熱発電

*14)(株)Loop(2019.7.16):諏訪市四賀ソーラー事業環境影響評価手続 準備書説明, 174pp.

*15)fukusho.group ホームページ

お問い合わせ 0120-158-455